フェンウェイパークの奇跡 | 第72話
9番サード・リンの負傷退場により 出番が回って来たのはマット3塁手、
マットは 去年 スカウトに見いだされシードックス(2A)でプレーをした
マットは 前半をケガで棒に振るが、
後半40試合で なんと60個の盗塁に成功(盗塁企画数60) 成攻率100%。
特筆すべきは走力で、走攻守と三拍子揃ったREDSOx期待の新人だ
そして、マットは 今年 初めてメジャーリーグに昇格した
打席に向かうマットに マーチンは耳打ちした
「いいか、マット。 塁に出たらいつでも走っていい、ノーサインだ ! 」
うなずくマット
マットは打席の中に入り、土を踏みしめる
<これがメジャーリーグの打席なのか……>マットは 感慨ぶかく足下を見つめる
マットは ホームベースをバットでなぞり、B・Bを睨んだ。
B・Bが 第1球を投げた。
161kmの速球がド真ん中に向かう
“ よし ! " マットは思いっきりバットを振った。
「ストライク」マットは思わずB・Bを見つめる。
B・Bは 不敵な笑みを浮かべ べラ捕手からの返球を受ける。
「 おいおい どうした新人! バットとボールが10cmは、離れているぜ 」
とベラ捕手は挑発する。
「 くそっ!」マットはベラを睨む。
「おお 怖い ! 」
< なんて凄い速球なんだ。 ボールがこんなに浮き上がるなんて! >
ベラは B・Bを見つめて サインを出した。
2球目もB・Bの速球は 唸りをあげてストライクゾーンに来た。
「ストライク!」球審の右手が上がる。
どうしていいか分からないマット
“ 仕方がない " マットは決めた
3球目、B・Bが モーションをおこし投げた。
マットはすかさずバントの構えを見せ、助走をつけながらバントを三塁線に決めた。
ボールの勢いを殺した絶妙のバントは ラインに沿って、力無く転がる。
不敵な笑みを浮かべ7年連続ゴールドグラブ賞受賞のB・Bは、素早くマウンドを降り、
余裕を持ってボールを掴むや 振り向きざま 1塁に投げた。
“ なにっ! "
B・Bは驚いた。
B・Bの位置からだと 送球と マットがベースを踏むのが 殆ど同時に見えた
゛なんて足してやがるんだ… ” B・Bにとって 幸い塁審の判定はアウトだった
大きな どよめきに 揺れるフェンウェイパーク
「 なんという速さだ!マットの脚には翼が生えているのか! 」
と実況担当は絶叫した。
「かつてマイナーリーグでは ゛直角を 全力疾走出来る男゛ と恐れられていました
なんとも恐ろしい男だ!
マットの走塁を見るだけでも、十分にチケットを買う価値はあります」
と解説者も絶賛した
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