フェンウェイパークの奇跡 | 第41話
「うるさいぞお前達! おいらは、兄者の身体の事を思って云っているんだ。
兄者のことが心配で心配で、夜もおちおち眠れないんだ」と涙ぐむ八兵衛
「ありがとう八兵衛、八兵衛がいるおかげで、いつも場が和む。
餓狼、猛虎、お前達もそう思うだろ」
シゲの思わぬ問いに戸惑う二人。
3月23日 深夜
「そらみろ、お前達、よーく聞いておけよ、兄者の ありがたーいお言葉を!
兄者だけだ、おいらのことを心底分かってくれるのは!」
八兵衛は目に涙を一杯溜めている・
<また、始まった……>と餓狼と猛虎は露骨に嫌な顔をしている。
「兄者!」 と八兵衛は大声を出し真剣な眼差しでシゲの後姿を見つめた。
「びっくりするじゃないか。ここではあまり大きな声をだすな.」
とシゲは振り向いて云った。
「兄者 ! オイラを、兄者のために死なせてくれ!」
と八兵衛は 真剣な眼差しでシゲを見つめる。
<このバカ、急に何を言い出すんだ>餓狼と猛虎は、呆れた顔をした。
3月23日 深夜
「おいおい、八兵衛、いつも云っているだろう、
生きて、生きて、生き抜いてこそ忍者だ。 滅多な事はロにするな。」
とシゲは八兵衛を見つめた。
八兵衛は 急にその場に跪いた。
「兄者!恐れながら申し上げまする」と八兵衛は、あらたまって兄者に問うた。
<また、始まった……>
<いい加減にしろ…>餓狼と猛虎は 露骨に嫌な顔をして八兵衛を睨んだ。
「どうした八兵衛、あらたまって。」
「生きて、生きて、生き抜いてこそ忍者…… と兄者は、おいら達によく仰います。
でも、兄者の方は どうなんです?
戦場では、兄者は、いつも おいら達に
「先に行ってろ」
「先に帰ってろ 」 と云っては、一人で殿<しんがり>を務めている。
兄者! 云ってる事と、やってる事が違うんじゃねぇーですか 」
と八兵衛はシゲを睨んだ。
「それはな八兵衛」とシゲが言いかけると餓狼と猛虎がたたみかけるように言った。
「八兵衛、兄者の気持ちを察しろ」と餓狼
「お前には、デリカシーというものが無いのか」と猛虎
「決めた! オイラ 兄者の為に、ここで死ぬ!
よぉーし! そうと決まったら、矢でも鉄砲でも持ってきやがれってんだ。」
と八兵衛は立ち上がって叫んだ。
餓狼と猛虎は呆れてものも言えない。
二人は顔を見合せ、お互い目で会話した。
< よく ここまで、おべんちゃらが云えたものよ…… >
< 口から生まれた八兵衛とは、よく云ったものだ…… >
< ひょっとしてコイツ、アカデミー賞主演いや、助演男優賞を取れるのでは……>
<あり得る!>
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