フェンウェイパークの奇跡 | 第39話
「 エヘン ! 」 と わざとらしい咳払いが聞こえた。
餓狼と猛虎が、顔を曇らせた。
「兄者!」と八兵衛がホームベースの方から、小走りに駆け寄ってきた。
<ややこしい奴が来た…>
<やれやれ……> 猛虎と餓狼が目を合わせて露骨に顔をしかめた。
「久しぶりだな八兵衛、元気にしていたのか?」とシゲは懐かしそうに笑った。
「兄者.遅くなってすみません。
これからは、おいらも兄者の側に、ピッタリと、くっついて
兄者の力になろうと、馳せ参じました次第です 」と八兵衛は片膝をつき云った。
「八兵衛、屋台は どうするんだ 」と餓狼が聞いた
「八兵衛、この前にようやく常連客が付いて、軌道に乗ったと云っていたじゃないか。
ここは 俺達に任せて商売に専念したらどうだ 」と猛虎が続けて云った
「おあいにくさま。 兄者、1週間程前に、後釜が見つかりましてね。
今日まで付きっきりで厳しく指導して.何とかやっていく目処がつきましたもんで」
と八兵衛は云った。
<大人しく商売してりゃ良いものを…… >
<明日から又うるさくなる…… >
餓狼と猛虎は、憂鬱な表情を隠そうともしない
<もうすぐ 開幕戦か…>
呪いの情報収集も頭うちになったシゲ達は フェンウェイパークを後にした。
3月23日深夜
八兵衛は兄者の正気を疑い出した
実際にシゲは正気を失っているのかもしれない
シゲがまだ来ていない時
「ヘクション、ハクション、ヘクション おぉー寒い 、ここは寒すぎるよなー
餓狼.猛虎、お前たち平気な顔しているが寒くないのか?」
と八兵衛は、ぶるぶる震えながら云った。
「なぁー 今日の天気予報で云っていたんだが.
今夜の最低気温は何度になるか知っているか・・・
―40度だぜ! ―40度。信じられるか?
なんでもボストンはじまって以来の過去最低を記録するらしい。
長期予報でも云っていたんだが、春が来るのが6月頃になるらしい、6月だぜ!
後 まだ、まるまる2ヵ月はあるんだぜ。
いったい どんだけ寒い日が続くつもりなんだ…」と八兵衛はぶるぶると震えている
餓狼と猛虎はなにも云わずに黙って聞いている。
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