フェンウェイパークの奇跡 | 第38話

2023年1月18日

「FWPでの私の行動に一切干渉しない事。そして、試合に出る時もあれば、

 

出ない時もあることを了承してほしい。

 

監督、コーチの方々には、その旨を伝えて欲しい。」とシゲは三人に云った。

 

<こんな契約は、はじめてだ…>済んでしまった事だがオーナーは少し不安になった。

 

オーナー・球団社長・GMは忍者との契約を少しの間伏せることにした。

 

ユニホームには忍者シゲと記される。

 

国籍不明、年齢不明、右投右打、セットアッパー、

 

入団発表は開幕一週間前の3月25日 に行う事とした。

 

「それともう一つ大切な話があるんだ、」と球団社長が云う、

 

「お金、給料の事なんだが…」とGM云った。

 

シゲはこの時に契約を済ませた。選手登録名は 忍者シゲ、

 

その後、忍者シゲは オープン戦 が終盤にさしかかるまで、

 

オーナー達の前から姿を消した

 

シゲはその間、深夜のFWPに忍び込み異変を感じ取ろうと寝ずの番をしていた。

 

そして猛虎と餓狼に霊界幽界の状況を徹底的に調べさせた

 

3月3日 深夜から

 

シゲたち3人は、この薄気味悪い負のパワーが充満するFWPに

 

深夜 立ち続けることにした

 

 

 

 

 

深夜のFWPに忍び込み立ち続けて20日目、FWPは至る所に雪が積もっている。

 

シゲは マウンドに立ち、目を閉じ何か気配を感じようと陰を唱えていた。

 

風が舞った、グランドの芝生が少し揺らいだ、

 

気配を消し 足音も立てずに 二つの影が シゲの背後に片膝を着いた。

 

「どうだった?」

 

「ルースは、天国に行っていました。

 

でも 天国の決り事を あまり意識せずに行動していたそうです。」

 

と猛虎がシゲに云った。

 

「決まり事とは何だ?」とシゲは聞く。

 

「詳しい事はわかりませんが、天国にも色々決まり事があるそうです。

 

ルースはそのような事をあまり気にせずに、行動していたそうです。 それで…」

 

と餓狼は言葉に詰まった。

 

シゲは 現世においてのベーブ・ルースの自由奔放な行動を伝え聞いたことがある。

 

それが原因で、当時のオーナーや監督ともしばしば確執があったとも聞いていた。

 

<ルースは 霊界においても同じように確執を作ってしまったのか……>

 

「それで、今どうしているんだ」

 

「分からないんです……」と餓狼

 

「分からない ? どういう事だ。」

 

「消息不明です……」と猛虎

 

<ひょっとして……>

 

シゲはある一つの仮説が脳裏をよぎった。

 

と その時