フェンウェイパークの奇跡 | 第36話
「今の圧力の正体は何だと思う!」とシゲはつぶやくが、餓狼・猛虎には分からない。
マウンドに立ったシゲに猛虎が微笑みながら云った
「兄者、ここで魔球を投げるんですね」
「そうなるだろう」
「魔球の威力にメジャーリーガーも眼を丸くするでしょう」と餓狼は云った。
「・・……」<100%の力が出せればいいのだが…>とシゲは心の中で呟いた。
<まさか……この不思議な妖気が魔球の威力を…・・・・>
と餓狼と猛虎の二人は急に不安になった。
「何だ…あれは… 」とシゲはレフトの方を向いて声を上げた。
そこには馬鹿でかい緑色の壁がそびえ立っている、
「何だあれは ……? あんな所にどうして壁があるんだ ?」
と シゲはレフトに聳える巨大な壁を指差し二人に聞いた。
「さぁーわかりません。ボールが外にいかないように
壁を高くしているのでしょうか…」と餓狼が推測する。
<…… 外敵の侵入を防ぐため…… まさか…… >とシゲは怪訝な顔をした。
三つの影はツカツカとグリーンモンスターに歩み寄り
壁の前に立ち球場全体を見渡した。
「しかし、薄気味悪い球場だ…、まるで墓場だ…」と餓狼が云う。
「すると……」シゲは緑の壁を触った。
「この壁が俺達の墓石になるな。」とシゲは笑った。
「兄者。縁起でもない事を云わないで下さい。」と猛虎が云った。
穏やかな表情で夜空に浮かんでいたお月さんが、急に険しい表情になりだした。
その瞬間 またしても球場全体が薄緑色に、ぼわっと光り、激しく揺れ出した。
影たちはマグニチュウド10以上の地震に見舞われて、危うく倒れそうになった。
すぐに3つの影は再び刀の鞘から竜虎狼を抜きFWPに対し円を描いて身構えた。
「なんて薄気味悪いんだ…」と猛虎が呟いた。
<FWPがバンビーノの呪いに何か関係があるのだろうか…>
シゲに流れる忍者の血が騒いだ。
シゲは一度、不知火忍者島に帰り、総帥に事の重大さを報告する事に決めた。
<シーズンが始まるまでには、何とかして霊界と話をつける手立てを考えねば……>
3月2日 pm 20:00
オーナーと球団社長、GMはキャンプに参加しないシゲの事を心配して
八兵衛に会って 事情を聞こうと屋台に顔を出した。
「八兵衛さん、忍者シゲがまだキャンプに参加していないのだが
( もうそろそろ )練習試合に入るんだけど、
シゲとはいつ頃契約出来るのかなぁー」とオーナーは不安気にいう。
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