フェンウェイパークの奇跡 | 第36話

2023年1月18日

「今の圧力の正体は何だと思う!」とシゲはつぶやくが、餓狼・猛虎には分からない。

 

マウンドに立ったシゲに猛虎が微笑みながら云った

 

「兄者、ここで魔球を投げるんですね」

 

「そうなるだろう」

 

「魔球の威力にメジャーリーガーも眼を丸くするでしょう」と餓狼は云った。

 

「・・……」<100%の力が出せればいいのだが…>とシゲは心の中で呟いた。

 

<まさか……この不思議な妖気が魔球の威力を…・・・・>

 

と餓狼と猛虎の二人は急に不安になった。

 

「何だ…あれは… 」とシゲはレフトの方を向いて声を上げた。

 

そこには馬鹿でかい緑色の壁がそびえ立っている、

 

「何だあれは ……? あんな所にどうして壁があるんだ ?」

 

と シゲはレフトに聳える巨大な壁を指差し二人に聞いた。

 

「さぁーわかりません。ボールが外にいかないように

 

壁を高くしているのでしょうか…」と餓狼が推測する。

 

<…… 外敵の侵入を防ぐため…… まさか…… >とシゲは怪訝な顔をした。

 

三つの影はツカツカとグリーンモンスターに歩み寄り

 

壁の前に立ち球場全体を見渡した。

 

「しかし、薄気味悪い球場だ…、まるで墓場だ…」と餓狼が云う。

 

「すると……」シゲは緑の壁を触った。

 

「この壁が俺達の墓石になるな。」とシゲは笑った。

 

「兄者。縁起でもない事を云わないで下さい。」と猛虎が云った。

 

穏やかな表情で夜空に浮かんでいたお月さんが、急に険しい表情になりだした。

 

その瞬間 またしても球場全体が薄緑色に、ぼわっと光り、激しく揺れ出した。

 

影たちはマグニチュウド10以上の地震に見舞われて、危うく倒れそうになった。

 

すぐに3つの影は再び刀の鞘から竜虎狼を抜きFWPに対し円を描いて身構えた。

 

「なんて薄気味悪いんだ…」と猛虎が呟いた。

 

<FWPがバンビーノの呪いに何か関係があるのだろうか…>

 

シゲに流れる忍者の血が騒いだ。

 

シゲは一度、不知火忍者島に帰り、総帥に事の重大さを報告する事に決めた。

 

<シーズンが始まるまでには、何とかして霊界と話をつける手立てを考えねば……>

 

3月2日  pm 20:00

 

オーナーと球団社長、GMはキャンプに参加しないシゲの事を心配して

 

八兵衛に会って 事情を聞こうと屋台に顔を出した。

 

「八兵衛さん、忍者シゲがまだキャンプに参加していないのだが

 

( もうそろそろ )練習試合に入るんだけど、

 

シゲとはいつ頃契約出来るのかなぁー」とオーナーは不安気にいう。