フェンウェイパークの奇跡 | 第29話
「おいドセ、話が違うぞ、もっとストライクを投げろ」
ゴルビーは頭から湯気をだして怒っている。
ヤングコーチはドセの速球を初めて見て驚いた。
“こんな凄い速球を投げるとは……! どうしてストライクが入らないのだ?"
高校生の時に1試合23奪三振の記録を作ったと聞いたが、何故なんだ…>
これから打席に入るクリーンアップの3人もドセの剛速球に驚いている。
< こんな凄い速球、オレに向かってきたら、逃げられないぜ! >。
カウボーイは急に腹が痛いとベンチに下がった。
次の日もドセは打撃投手をさせられた。
前日、結局2人の打者に28球投げてストライクはたったの3球、しかし ドセには大きな進歩だ。
これまで1球たりともストライクが入っていないからだ。
はじめに打席に入ったのは カウボーイだった。
カウボーイはドセに、ニコッと笑って構えた。
<お手柔らかにな 小僧>
ドセは少し緊張した
<ベン主将とコイツが 今メジャーで最強の打者だろう。
この二人を抑えればオレがNo1だ!>
ドセは少し、アドレナリンが出たのか表情が引き締まった。
< やはり、思ったとおりだ ! >
ヤングはドセの表情を見のがさなかった。
ドセの表情が引き締まると、投球が明らかに変わった。
ドセは肢体をムチのようにしならせ、カウボーイに第一球を投げた。
素晴らしい速球が外角低めに決まった
報道陣から、どよめきが沸いた。
<素晴らしい!>とマーチンは云い、眼を輝かせてヤングを見て頷いた。
< このガキ、凄い速球を投げるじゃないか ! >カウボーイも内心舌を巻いた。
しかし その後は5球連続ボール。
カウボーイは まだ1度もバットを振っていない。
そして 7球目ドセの手元が狂った。
ドセの投げた速球は カウボーイの頭をめがけて飛んできた。
カウボーイは ひっくり返って、かろうじて速球を避けた
「 小僧 ! ふざけるな ! 」
カウボーイは 立ち上がるや バットを放り投げ、ドセに向かって走りだした
「やめろ カウボーイ!」 すぐに まわりにいるチームメイトが止めに入る。
「離しやがれ ! ふざけるな小僧 ! ナメやがて ! ぶっ殺してやる!」
怒りが収まらないカウボーイは、そのままロッカーに帰ってしまった
一部始終を見ていた者は 誰も打席に入ろうとしない。
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