フェンウェイパークの奇跡 | 第 18話
<こりゃー本気だ>
シゲは見る見るうちに、さわやかな笑顔を 忍者マスク越しに見せ出して云った
「溝田塾長、ダイエーホークスを思い出しますね」
「そうだなぁー、もう随分と経つなぁー…寺岡二軍監督 杉本投手コーチ
高橋慶彦コーチ 、山脇コーチ 今 どうされているんだろう…」。
シゲはかつて日本プロ野球機構のパシフィックリーグに所属する
ダイエーホークス球団の秋季キャンプに参加したことがある。
福岡工業大学知能工学溝田教授・同野球部監督・ そして杉本投手コーチの計らいで
ダイエーホークス野手陣・投手陣に実際に打席に立ってもらいシゲは魔球を披露した。
キャンプ参加当日、練習開始30分前にシゲはグランドに出た、
そして寺岡二軍監督以下コーチ陣に挨拶を済ませウォーミングアップを始めた。
身体が温まったところで、練習相手としてシゲに付き添って来た二人、
忍者野球軍団ナンバー2の捕手ダイスケと
今現在 魔球習得中の次期エース・トシハル、と三人でキャッチボールを始めた。
「兄者、ホークスの選手たちは 忍者野球のレベルの高さ、マダマの威力に面食らうでしょう」
とダイスケが楽しそうに云う。
「兄者、このままダイエーホークスと契約し 来シーズン大活躍して
俺たち後進の者に道を作って下さい。」とトシハルは興奮気味に云った。 15
「分かった、」とシゲも笑って答えた。
シゲの投げる筋肉が完全にほぐれた時、
待っていたかのようにコーチらしき人が近付いてきた。
「少し受けさせてもらえるかな」とコーチはダイスケに云った。
「どうぞ」と大介は譲る。シゲは一礼をし セットポジションの構えから捕手を見た。
<かなりの経験者だ…>シゲは安心して魔球を投げた。
ボールのスピードは約95km。
ボールは捕手の手前約5mあたりから
30㎝ほどの上下の振幅をくり返し捕手に向かって進んできた。
<なにっ! これ程までの上下の振幅が…… あの重い硬式ボールで可能なの
か? ……
いやっ まぐれ・偶然かもしれん……>
シゲは10球連続、上下の振幅<縦揺れ>を投げた。
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