フェンウェイパークの奇跡 | 第 18話

2023年1月18日

<こりゃー本気だ>

 

シゲは見る見るうちに、さわやかな笑顔を 忍者マスク越しに見せ出して云った

 

「溝田塾長、ダイエーホークスを思い出しますね」

 

「そうだなぁー、もう随分と経つなぁー…寺岡二軍監督 杉本投手コーチ

 

高橋慶彦コーチ 、山脇コーチ 今 どうされているんだろう…」。

 

シゲはかつて日本プロ野球機構のパシフィックリーグに所属する

 

ダイエーホークス球団の秋季キャンプに参加したことがある。

 

福岡工業大学知能工学溝田教授・同野球部監督・ そして杉本投手コーチの計らいで

 

ダイエーホークス野手陣・投手陣に実際に打席に立ってもらいシゲは魔球を披露した。

 

キャンプ参加当日、練習開始30分前にシゲはグランドに出た、

 

そして寺岡二軍監督以下コーチ陣に挨拶を済ませウォーミングアップを始めた。

 

身体が温まったところで、練習相手としてシゲに付き添って来た二人、

 

忍者野球軍団ナンバー2の捕手ダイスケと

 

今現在 魔球習得中の次期エース・トシハル、と三人でキャッチボールを始めた。

 

「兄者、ホークスの選手たちは 忍者野球のレベルの高さ、マダマの威力に面食らうでしょう」

 

とダイスケが楽しそうに云う。

 

「兄者、このままダイエーホークスと契約し 来シーズン大活躍して

 

俺たち後進の者に道を作って下さい。」とトシハルは興奮気味に云った。  15

 

「分かった、」とシゲも笑って答えた。

 

シゲの投げる筋肉が完全にほぐれた時、

 

待っていたかのようにコーチらしき人が近付いてきた。

 

「少し受けさせてもらえるかな」とコーチはダイスケに云った。

 

「どうぞ」と大介は譲る。シゲは一礼をし セットポジションの構えから捕手を見た。

 

<かなりの経験者だ…>シゲは安心して魔球を投げた。

 

ボールのスピードは約95km。

 

ボールは捕手の手前約5mあたりから

 

30㎝ほどの上下の振幅をくり返し捕手に向かって進んできた。

 

<なにっ! これ程までの上下の振幅が……  あの重い硬式ボールで可能なの

か? ……

 

いやっ まぐれ・偶然かもしれん……>

 

シゲは10球連続、上下の振幅<縦揺れ>を投げた。