フェンウェイパークの奇跡 | 第 16話
「さすがNCLAの奪三振王、肘のケガさえなければ
GMはメジャーリーグのドラフトでも、いの一番に指名されたじゃろう」
と総帥は残念そうに云った。
GMはびっくりして総帥を見た。
肘の故障で野球を断念した事は、今迄 誰にも言った事はない
<何故 総帥は知っているのだろうか……>とGMは不思議に思った。
総帥は続けて言った「今の変化球は、メジャーリーグではナックルボールと言うが、
我々は、まだま<魔球>と言っておる、
空気抵抗を最大限に利用して、まるで忍者のごとく変幻自在に揺れ動くのじゃ」。
3人はお互いの顔を見て同時に「まだま… 」と声を上げた 「そうじゃ まだま じゃ」
オーナーは今初めてシーズンが始まり、
忍者がメジャーリーグのマウンドに立っている事を想像する事が出来た。
すると何処からともなく 1人の忍者が現れて「まだま・魔球」の物理学的な解説を始め出した。
忍術を体系的に捉え、誰にでもわかりやすくまとめている。
忍者塾塾長であり、元福岡工業大学知能機械工学教授である、
忍者 溝田 溝田教授の説明を入れる
……ボストンでの物理学会の後フェンウェイパークで ウェイクフィールドと会う。
試合はシゲのリリーフにより赤いチームが勝った。
その夜、異国からのお客さんへのささやかながら宴会が催された。
篝火・松明を焚いた宴会場に色々な魚料理と不知火の地酒が用意された。
「おー今日は凄い豪華な夕食だ、これなら毎日オーナーたちに来て頂きたいものです」
と八兵衛は云いながら徳利の酒を三人に注いだ。
オーナー、球団社長 GM.は茶碗の中になみなみと注がれた酒をごくごくと飲み干した。
<いつも 八兵衛の屋台で飲んでいる酒と同じ味がする>と三人は思った。
「忍者島の地酒は何処で飲んでも旨いでしょう」と八兵衛は云った。
三人はようやく落ち着いた気分を取り戻し、不慣れな箸を使って料理を食べだした
そして 心の中で唸った
<なんて旨いんだ>
旬の素材を ふんだんに使った忍者料理。
それはまるで大自然が凝縮されたような鮮やかな膳が、宴を一層彩っている。
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