フェンウェイパークの奇跡 | 第 16話

2023年1月18日

「さすがNCLAの奪三振王、肘のケガさえなければ

 

GMはメジャーリーグのドラフトでも、いの一番に指名されたじゃろう」

 

と総帥は残念そうに云った。

 

GMはびっくりして総帥を見た。

 

肘の故障で野球を断念した事は、今迄 誰にも言った事はない

 

<何故 総帥は知っているのだろうか……>とGMは不思議に思った。

 

総帥は続けて言った「今の変化球は、メジャーリーグではナックルボールと言うが、

 

我々は、まだま<魔球>と言っておる、

 

空気抵抗を最大限に利用して、まるで忍者のごとく変幻自在に揺れ動くのじゃ」。

 

3人はお互いの顔を見て同時に「まだま… 」と声を上げた  「そうじゃ まだま じゃ」

 

オーナーは今初めてシーズンが始まり、

 

忍者がメジャーリーグのマウンドに立っている事を想像する事が出来た。

 

すると何処からともなく 1人の忍者が現れて「まだま・魔球」の物理学的な解説を始め出した。

 

忍術を体系的に捉え、誰にでもわかりやすくまとめている。

 

忍者塾塾長であり、元福岡工業大学知能機械工学教授である、

 

忍者 溝田  溝田教授の説明を入れる

 

……ボストンでの物理学会の後フェンウェイパークで ウェイクフィールドと会う。

 

試合はシゲのリリーフにより赤いチームが勝った。

 

その夜、異国からのお客さんへのささやかながら宴会が催された。

 

篝火・松明を焚いた宴会場に色々な魚料理と不知火の地酒が用意された。

 

「おー今日は凄い豪華な夕食だ、これなら毎日オーナーたちに来て頂きたいものです」

 

と八兵衛は云いながら徳利の酒を三人に注いだ。

 

オーナー、球団社長 GM.は茶碗の中になみなみと注がれた酒をごくごくと飲み干した。

 

<いつも 八兵衛の屋台で飲んでいる酒と同じ味がする>と三人は思った。

 

「忍者島の地酒は何処で飲んでも旨いでしょう」と八兵衛は云った。

 

三人はようやく落ち着いた気分を取り戻し、不慣れな箸を使って料理を食べだした

 

そして 心の中で唸った

 

<なんて旨いんだ>

 

旬の素材を ふんだんに使った忍者料理。

 

それはまるで大自然が凝縮されたような鮮やかな膳が、宴を一層彩っている。