フェンウェイパークの奇跡 | 第 15話

2023年1月18日

次の瞬間オーナー達三人に戦慄が走った、乱闘 と云っても殴り合いではなかったのだ。

 

審判が、背に担いだ忍者刀を抜くや否や、

 

それを待っていたかのように、グランドにいる忍者全員が、

 

背に担いだ忍者刀を抜き、斬り合いが始まった。

 

あっと云う間に両チーム入り乱れての殺し合いの開始だ。

 

<何て事だ!・…>

 

< たっ……  大変だ!・……… >

 

三人は、その光景を見て、顔面蒼白になった。

 

両チームは最終回まで互角に戦っていた、スコアは0―0

 

すると リリーフとして忍者シゲが登場する事になった。

 

「あれがシゲじゃ」と言って総帥が指差した。

 

忍者スタイルで 顔は濃紺の布に覆われているので眼だけしか見えない、

 

いよいよシゲがマウンドに登った。

 

するとまわりの木々にとまっていた鳥たちが、空に向かっていっせいに飛び立った。

 

三人は、驚いて首をすくめ、辺りを見回す。

 

シゲは野球で言うセットポジションからの投球動作に入った。

 

三人は 忍者シゲがどんな凄い球を投げるのかと 固唾をのんで見守る。

 

そして、シゲは第一球を全力で投げた。

 

しかしシゲが投じたボールは ふわっと 山なりの軌道を描いて忍者打者に向かった、

 

「あれっ…」三人は失望した、

 

しかし

ボールは忍者打者の手前5メートル付近ぐらいから急激にジグザグ走行を始め出した。

 

「あっ ナックルボールだ!」とGMは大声で叫んだ。

 

ドスンという音とともに忍者打者の腹部にボールは当たってポトリと落ちた。

 

打者の忍者は、膝をつき蹲<うずくまる>っている。

相当痛そうだ。

 

GM、うちのウェインが投げている、あの変化球か」とオーナーはすかさず聞いた。

 

「そうです、あれはまぎれもなくナックルボールです。ほとんど回転せずに

 

打者に向かってふわふわと蝶蝶のように飛んで行き、

 

ぐらぐらと揺れながらストンと急激に落ちました。

 

ウェインのナックルボールに匹敵する質の高いナックルボールです。」とGMは興奮して話した

 

棟梁はニコニコして3人の話を聞いている