フェンウェイパークの奇跡 | 第14 話

2023年1月18日

オーナー・球団社長・GMは八兵衛の屋台で棟梁の話を聞いていたが

 

忍者が 投手や野手を 本当に出来るのかと半信半疑であったのが、

 

ここにきてようやく事態が飲み込めてきた。

 

これなら忍者シゲが 実力さえあればメジャーリーグのマウンドに立つ事も夢ではないと感じた。

 

GMは試合を見ていて かなりのレベルの高さに驚いている。

 

GMがまず最初に眼を見張ったのが、赤と白に分かれて戦っている両チームのピッチャーだ。

 

赤のチームのピッチャーは少なくとも155キロ以上のスピードボールを打者に向かって投げている

 

そして、その剛速球をいとも簡単に打ち返す打者、

 

打ち返すといっても、バットではない、固い木を刀の形にした木刀だ。

 

明らかにバットよりも細い。

 

白のチームのピッチャーはすべての変化珠を投げ分けている、

 

それも物凄い切れ味を持っている変化球だ。

 

しかしその強烈な変化をも この忍者たちはいとも簡単に はじき返している。

 

どれもこれも凄いことだらけだが、やはり一番目を引くのが打撃、

 

メジャーリーグの野球で例えれば

 

打者が投手の投げるボールをホームベースの上に立ち、

 

待ち構えてバットで払いのけることだ、

 

<打者に向かって来たボールを、空振りでもすれば打撲や骨折では済まないだろう……>

 

と三人は背筋が凍った。

 

しかし、三人の心配も、どこ吹く風と忍者打者たちは、忍者投手が投げる木のボールを

 

身体に引き付けるだけ引き付け、

 

片手一本で、強烈な打球を、いとも簡単に 右へ左へ打ち分けている。

 

バットで打ち分けるのではない。バットの厚さ1/3程の木刀なのだ。

 

<信じられない……>

 

<こんな事が……>

 

<死と隣り合わせ…  一体これは どう言う事なんだ!……>

 

<忍者は命を賭けて野球をしている…・ 何故なんだ… > 三人は理解に苦しんでいる。

 

しかし、理解に苦しむのは、これだけではなかった。

 

忍者打者が、センター前に抜ける強烈なゴロを打った。

 

二塁手は、飛びついてゴロを掴み、すぐさまボールを拾い上げ一塁へ投げた。

 

間一髪、判定はアウト。

 

この判定に怒った忍者打者走者が、

 

一塁塁審<忍者>に抗議を始めたと思いきや、

 

あっと云う間に、両チーム入り乱れて乱闘が始まった。