フェンウェイパークの奇跡 | 第14 話
オーナー・球団社長・GMは八兵衛の屋台で棟梁の話を聞いていたが
忍者が 投手や野手を 本当に出来るのかと半信半疑であったのが、
ここにきてようやく事態が飲み込めてきた。
これなら忍者シゲが 実力さえあればメジャーリーグのマウンドに立つ事も夢ではないと感じた。
GMは試合を見ていて かなりのレベルの高さに驚いている。
GMがまず最初に眼を見張ったのが、赤と白に分かれて戦っている両チームのピッチャーだ。
赤のチームのピッチャーは少なくとも155キロ以上のスピードボールを打者に向かって投げている
そして、その剛速球をいとも簡単に打ち返す打者、
打ち返すといっても、バットではない、固い木を刀の形にした木刀だ。
明らかにバットよりも細い。
白のチームのピッチャーはすべての変化珠を投げ分けている、
それも物凄い切れ味を持っている変化球だ。
しかしその強烈な変化をも この忍者たちはいとも簡単に はじき返している。
どれもこれも凄いことだらけだが、やはり一番目を引くのが打撃、
メジャーリーグの野球で例えれば
打者が投手の投げるボールをホームベースの上に立ち、
待ち構えてバットで払いのけることだ、
<打者に向かって来たボールを、空振りでもすれば打撲や骨折では済まないだろう……>
と三人は背筋が凍った。
しかし、三人の心配も、どこ吹く風と忍者打者たちは、忍者投手が投げる木のボールを
身体に引き付けるだけ引き付け、
片手一本で、強烈な打球を、いとも簡単に 右へ左へ打ち分けている。
バットで打ち分けるのではない。バットの厚さ1/3程の木刀なのだ。
<信じられない……>
<こんな事が……>
<死と隣り合わせ… 一体これは どう言う事なんだ!……>
<忍者は命を賭けて野球をしている…・ 何故なんだ… > 三人は理解に苦しんでいる。
しかし、理解に苦しむのは、これだけではなかった。
忍者打者が、センター前に抜ける強烈なゴロを打った。
二塁手は、飛びついてゴロを掴み、すぐさまボールを拾い上げ一塁へ投げた。
間一髪、判定はアウト。
この判定に怒った忍者打者走者が、
一塁塁審<忍者>に抗議を始めたと思いきや、
あっと云う間に、両チーム入り乱れて乱闘が始まった。
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