フェンウェイパークの奇跡 | 第 13話

2023年1月18日

「忍者投手にとっての一番の目的は、忍者投手は忍者打者に、

ボールをぶつける事なんじゃ」

 

「えっ、ぶつける……」三人は総帥の言葉に狼狽した。

 

打者は、投手に当てられない様に、ストライクを取られないように、

 

木刀でフィールド内に打ち返すんじゃ、

 

忍者打者が、フェアーゾーンへ打球を打てば、当然一塁ベースへ走る。

 

フェアーゾーンへ打球を打てば 後は、メジャーリーグのルールで進めていく。

 

木刀を持った忍者打者が ホームベースをまたいで

 

一塁ライン上のマウンドに立つ忍者投手と正対した。

 

「皆さん、百聞は一見にしかず。じっくり見てみよう。」

 

忍者審判が、「プレイボール」と高らかに宣言した。

 

マウンド上の忍者投手は、手に木で作ったボールを持ち、

 

身体をかがめて捕手のサインを見ている。忍者投手が投球動作に入った。

 

忍者打者は ホームベースをまたぎ、腰をかがめ、右手で木刀を握り、左腰に持って行く。

 

そして、左手を添えた。

 

忍者打者は、向かってくるボールを、右手で持った木刀で払い打つ つもりだ。

 

忍者投手が振りかぶって、第一球を投げた。

 

「あっ!」GMが目を見開いた。

 

忍者投手の投げたボールは忍者打者の顔面へ突き進む。

 

忍者打者は、まったく動じず、顔面を直撃する寸前、

 

木刀を目にもとまらぬ速さで操り、ボールを払うようにして打ち、ジャストミートした。

 

打球は、あっという間にライト・センター間を真っ二つにした。

 

<えっ、追いついた!>

 

驚くのはまだ早い。完全に抜けたと思われた打球に、

 

ライトが追いつき、素早く3塁に送球した。

 

<打球に追いついたのに、どうして3塁に……>

 

とGMは思ったが、打者走者を見て驚き納得した。

 

GMは、今のヒットは二塁でのクロスプレーになると思っていたが、

 

打者走者は2塁を回り、塁間の半分ぐらいのところを走っていた。

 

ライトからの送球を受けた中継の遊撃手は、ボールを捕るや、

 

振り向きざま3塁に投げようとしたが、投げるのを思いとどまった。

 

3塁は楽々セーフであった。

 

<なっ、何という足の速さ…>

 

まさしく棟梁が言ったように、手裏剣を応用した訓練