フェンウェイパークの奇跡 | 第 10 話
「シゲに会うのは、早い方がいい」
と総帥は ひと息つく間もなく 3人を島の頂上まで連れていった、
そこは木々を伐採してグランドのようになっていた。
そして三人が最初に眼にしたのは長方形のグランドだった、
白色と赤色の忍者服を着た者達およそ20名程が
敵味方に分かれて一つのボールを奪いあっている。
「忍者はアメフトもするんですか?」とGMは驚いている。
少し行くと、なにやら野球場の様なものが見えてきた。
よく見ると赤と白の鉢巻をした忍者たちがグランドでキャッチボールをしている。
忍者同士が向き合って対決しているように見える。
三人はグランドを見渡し、すぐに違和感を感じた。
<あれっ……バッターボックスが描かれてない……>
「総帥!バッターボックスは 描かないのですか?」
とGMは怪訝な表情をして総帥を見て云った。
「MLBでは、打者は、バッターボックスの中で投球を待つことになる。
しかし ここ忍者野球では、ホームベースはあるが 御覧のようにバッターボックスは無い。
打者はホームベースを またいで投球を待つことになる、」と総帥は云った。
「まっ、 またいで! …… ですか?」 とGMは、眼を剝いて驚いた。
「 そうじゃ またいでじゃ 」と総帥は頬笑んだ
オーナーたちには、まったく訳が分からない。
<一体どんな野球をするつもりなのだろう……>三人は、お互いを見て戸惑った。
「つまり、こういう事なのだ。忍者野球とメジャーリーグの一番大きな違いは
打者は 投手と、生きるか死ぬかの決闘をするという事なのだ。」と総帥は云った。
「けっ、決闘」とオーナーが云うと総帥は、うなずいた。
「我々は、忍者の修行のひとつとして野球を取り入れた以上、
単なるゲームでは終わらせていない。」と総帥はキッパリと云い切った。
「ここでのルール、即ち 忍者野球のルールを少し説明しておこう 」と総帥は云った
「忍者打者のストライクゾーンは、内外角はMLBと同じ、
しかし、高低は、忍者打者の爪先から頭のテッペンまで 」
忍者打者はホームベースをまたいで投球を待つ。
その時、忍者投手が投球をした場合。
次の四つ事が考えられる
「①忍者打者に当たる」
「②忍者打者が打つ」
「③忍者打者が投球を空振り、
または見逃して、球がストライクゾーンを通過してストライクになる」
「④投球がボールになる」
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