フェンウェイパークの奇跡 | 第 10 話

2023年1月18日

「シゲに会うのは、早い方がいい」

 

と総帥は ひと息つく間もなく 3人を島の頂上まで連れていった、

 

そこは木々を伐採してグランドのようになっていた。

 

そして三人が最初に眼にしたのは長方形のグランドだった、

 

白色と赤色の忍者服を着た者達およそ20名程が

 

敵味方に分かれて一つのボールを奪いあっている。

 

「忍者はアメフトもするんですか?」とGMは驚いている。

 

少し行くと、なにやら野球場の様なものが見えてきた。

 

よく見ると赤と白の鉢巻をした忍者たちがグランドでキャッチボールをしている。

 

忍者同士が向き合って対決しているように見える。

 

三人はグランドを見渡し、すぐに違和感を感じた。

 

<あれっ……バッターボックスが描かれてない……>

 

「総帥!バッターボックスは 描かないのですか?」

 

とGMは怪訝な表情をして総帥を見て云った。

 

「MLBでは、打者は、バッターボックスの中で投球を待つことになる。

 

しかし ここ忍者野球では、ホームベースはあるが 御覧のようにバッターボックスは無い。

 

打者はホームベースを またいで投球を待つことになる、」と総帥は云った。

 

「まっ、 またいで!  …… ですか?」 とGMは、眼を剝いて驚いた。

 

「 そうじゃ またいでじゃ 」と総帥は頬笑んだ

 

オーナーたちには、まったく訳が分からない。

 

<一体どんな野球をするつもりなのだろう……>三人は、お互いを見て戸惑った。

 

 

 

「つまり、こういう事なのだ。忍者野球とメジャーリーグの一番大きな違いは

 

打者は 投手と、生きるか死ぬかの決闘をするという事なのだ。」と総帥は云った。

 

「けっ、決闘」とオーナーが云うと総帥は、うなずいた。

 

「我々は、忍者の修行のひとつとして野球を取り入れた以上、

 

単なるゲームでは終わらせていない。」と総帥はキッパリと云い切った。

 

「ここでのルール、即ち 忍者野球のルールを少し説明しておこう 」と総帥は云った

 

「忍者打者のストライクゾーンは、内外角はMLBと同じ、

 

しかし、高低は、忍者打者の爪先から頭のテッペンまで 」

 

忍者打者はホームベースをまたいで投球を待つ。

 

その時、忍者投手が投球をした場合。

 

次の四つ事が考えられる

 

「①忍者打者に当たる」

 

「②忍者打者が打つ」

 

「③忍者打者が投球を空振り、

 

または見逃して、球がストライクゾーンを通過してストライクになる」

 

「④投球がボールになる」