フェンウェイパークの奇跡 | 第 7 話
「手裏剣を防ぎきれかった忍者の周りいる者が被害を受ける。
だからそんな忍者打者は退場にしている。
皆さん、ボールを手裏剣に置き換えれば、理解していただけると思います。」
「投球がストライクゾーンを通過する。
それは、忍者野球では、絶対やってはならんことなのじゃ 絶対にな!」
「忍者打者と忍者投手の対戦、いや厳密には決闘がMLBとの一番大きな違いだ。」
と総帥は云った。<余程やってはいけないんだな……>
温和な表情で話していた総帥の形相が みるみる険しくなって行く様を見て
三人の表情も いままで以上に引き締まる。
忍者投手はマウンドに登ると、投球練習を始めた。
総帥は懐から三つの木のボールを取り出した
「これは記念に」と総帥は縫い目も綺麗に掘ってある木のボールを三人にを渡した。
「触ってみてどうです、固いでしょう。当たったら痛いの なんの、」
と八兵衛は顔を歪めて云った。
総帥が云うには通常のメジャーリーグの使用球の5 %増しの重量でつくっているらしい。
<かっ 固い……命が……いくつあっても足りない……>
<今のMLBの打者で打席に立とうとする者がいるだろうか……>
忍者投手は、2回投げることが出来る。
その2回の内に、一球でもストライクを取るか、
死球すなわち、打者に当てれば勝ち、ワンアウトになる。
「忍者投手は、打者に対し、2球まで投げることが出来る。
2球ともボールならMLBで云う四球になり、打者は一塁へ行く。」
「忍者投手にとっての一番の目的は、忍者投手は忍者打者に、ボールをぶつける事なんじゃ」
「えっ、ぶつける……」三人は総帥の言葉に狼狽した。
打者は、投手に当てられない様に、ストライクを取られないように、
木刀でフィールド内に打ち返すんじゃ、
忍者打者が、フェアーゾーンへ打球を打てば、後は、メジャーリーグのルールで進めていく。
木刀を持った忍者打者が ホームベースをまたいで
一塁ライン上のマウンドに立つ忍者投手と正対した。
「皆さん、百聞は一見にしかず。じっくり見てみよう。」
忍者審判が、「プレイボール」と高らかに宣言した。
マウンド上の忍者投手は、手に木で作ったボールを持ち、
身体をかがめて捕手のサインを見ている。忍者投手が投球動作に入った。
忍者打者は、左打席にはいり、腰をかがめ、右手で木刀を握り、左腰に持って行く。
そして、左手を添えた。
忍者打者は、向かってくるボールを、右手で持った木刀で払い打つつもりだ。
忍者投手が振りかぶって、第一球を投げた。
「あっ!」GMが目を見開いた。
忍者投手の投げたボールは忍者打者の顔面へ突き進む。
忍者打者は、まったく動じず、顔面を直撃する寸前、
木刀を目にもとまらぬ速さで操り、ボールを払うようにして打ち、ジャストミートした。
打球は、あっという間にライト・センター間を真っ二つにした。<えっ、追いついた!>
驚くのはまだ早い。完全に抜けたと思われた打球に、
ライトが追いつき、素早く3塁に送球した。<打球に追いついたのに、どうして3塁に……>
とGMは思ったが、打者走者を見て驚き納得した。
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