フェンウェイパークの奇跡 | 第 5 話

2022年7月28日

「そうじゃな、シゲをレッドソックスのピッチャーとして入団させ、チームの中から調べさせよう、

 

野球の実力は十分ある。シゲの野球のレベルなら、メジャーリーグで十分通用するはずだ。」

 

と総帥は自信満々で云う。

 

「シゲ…」オーナーが呟いた。 「次期 総帥です」と八兵衛が云った。

 

「来年、忍者島に来て下され、一度シゲに会って話をして下され、

 

そしてシゲのピッチングも見て頂きたい」と総帥

 

「忍者が…ピッチャーを…  」とオーナーはびっくりして聞き返した。

 

「忍者も野球をするんですか  」とGMも聞く。

 

総帥はびっくりしている3人にニコニコしながら話した

「オーナー、球団社長、GM、手裏剣というのをご存知ですかな  」と総帥は三人に聞いた。

 

「ナイフのような刃物を投げる技ですね、日本の忍者映画で見たことがあります。」

 

とオーナーは答える。

 

「忍者は、幼い頃から投力を鍛える為に刃物では少し危ないので、

 

木や石を投げて肩や腕を鍛えるのじゃ。

 

野球をするものは、球状にした木をボールに見立てて投げている

 

これは今の野球の影響でな、そして、回転を与えずに投げる練習をする。

 

木のボールに回転を与えないと変幻自在に変化をする、それを的に当てる練習をするんじゃ

 

的をストライクゾーンだと考えれば十分メジャーリーグで通用すると思うんじゃ」

 

と自信を持って総帥は話す。

 

3人ははじめは キョトンとして総帥の話を聞いていたが、

 

次第にメジャーリーグのマウンドに忍者が立つという衝撃的なニュースに

 

心が踊らずにはいられなかった。

 

<これは面白いことになってきたぞ、すぐさま忍者島に行ってシゲのピッチングを見たい>

 

とGMは思った。

 

オーナーもさすがに、先見の明のあるビジネスマンらしく

 

<これはレッドソックスファンだけでなく、

 

全米中 いや、世界中の野球ファンに衝撃的な話題を提供出来ると思った。>

 

三人は来年ではなく 今すぐ 忍者島へ行き この目ですべてを確かめたいと思った

 

この時にオーナーたちは 明日 総帥と一緒に忍者島へ行く事にした

 

八兵衛は、オーナーたちが子供のように総帥の話しを聞き、

 

子供のように大きく眼を見開いて驚く様を見てニコニコとしている

 

<幾つになっても子供心があるんだなぁー>と八兵衛は微笑んでいる。

 

翌日、オーナーと球団社長 GMは総帥、八兵衛と一緒に飛行機でハワイまで飛んだ。

 

そして、ハワイから水陸両用飛行機に乗り換え、地図には載っていない忍者島に向かった。

 

水陸両用飛行機は忍者島の手前約3キロの地点で、ガタガタと機体が揺れ出し、

 

突如計器が狂い出した、

 

オーナー達が飛行機に乗り込む前に

 

「この場所まで飛ばしてくれ」と総帥がパイロットに言って地図を広げて指差した

 

「そんな所に島なんかありませんよ、」とパイロットは云った 総帥はパイロットを見て頬笑んだ

 

「計器が狂い出した所で着水してくれ」と総帥はパイロットに 続けて云った。

 

<一体全体 何処に連れて行かれるのだろうか>とオーナー達三人に不安がよぎる。

 

何から何まで不思議な人達だ。 オーナーはまた不安になった。 「まぁーなるようになるさ」

 

「そうですねオーナー」と腹を決めたとたん、急に晴れやかな表情を見せ出した。

 

すかさず三人の引きつった顔を見た八兵衛は三人に優しく云った。

 

「大丈夫です、心配ない、3日後にはボストンに帰ってますから、私が ついています」

 

と三人を励ました。 三人はもうホームシックに なりかけていた。

 

飛行機が海に着水した。全員飛行機からボートに乗り移った。

 

辺りは何も無い。360度見渡す限りの地平線だけが陽炎のようにぼやけてみえるだけ。

 

「総帥、もう迎えがきましたよ」と八兵衛が云った。 「もう来たか」

 

オーナーたち、は天国からの迎えが来たのかと思った。

 

ボートが徐々に動き出した。5キロ、10キロ、15キロと、どんどんスピードが上がっている。

 

波に煽られてボートが跳ねだし、床の荷物が上下する。

 

<ボートにはエンジンが付いていない、そして誰も漕いでいないのに

 

なぜこのボ―トは前にすすむのか… >と三人は目を丸くして驚いた。

 

どんどんどんどんボートのスピードが上がり続ける、

 

すると、しだいに並走しているイルカの群れが見え出した。

 

イルカも歓迎の意味を込めてなのか ジャンプしだすものも現われ出す、

 

すると水中から何か人影のような物がボートの左端に近づいてきた。

 

<……サッ、サメ……>オーナーたち三人は、覗き込む

 

その瞬間 「あっ 忍者だ!」と言って

 

三人はボートの左端から右端に飛び上がって尻餅をついてしまった。

 

そして、この時三人は 不覚にも漏らしてしまった。

 

三人とも何事も無かった様に振る舞うが罰の悪さは隠せない、

 

でも運良く 水しぶきが オーナーたち三人の全身を水びたしにした事が、

 

唯一の救いだった。 しかし、総帥と八兵衛は見逃さなかった。

 

それが、証拠に、総帥と八兵衛は、

 

微どうだもせず、真っ直ぐ前を向いて笑いをかみ殺している。

 

水面に現れた忍者はイルカの背に腕を組んだまま仰向けに乗っている。

 

そして、総帥に向かって目を閉じたまま

 

「お帰りなさいませ」と一言云って再び水中に姿を消した。

 

ボートはスピードを維持したまま、真っ直ぐに突き進んでいる。

 

なにやら前方に巨大な雲か霧のような塊が立ちはだかってきた。

 

それに近づくに連れて真っ白の水鳥の数が空一面を覆い尽くすほどになった。

 

水鳥たちは総帥の帰島に喜ぶだけでなく、総帥のボデーガードをしているように感じられた。

 

これら水鳥の中に一羽だけ、じっと海面で、五人の動向を探っている灰色の水鳥がいた。

 

この水鳥は多くの水鳥達とは反対方向に、飛び立ち姿を消した。

 

三人は、この先 忍者島でどのような事が起こるのか、

 

想像できず不安な表情を浮かべている。

 

驚いたことに急にボートが霧に覆われだした、

 

あっという間に2、3m先でさえ見えなくなり出した、

 

ボートは厚い霧の中をどんどん前に進んでいる、

 

<目の前に障害物でもあれば…ひとたまりもないぞ…>

 

三人はボートの端に、しっかり摑まり衝撃に備えた

 

暫くすると、しだいに周りが明るくなり出し、急にボートは霧の中から飛び出した

 

三人は「うわぁー」と大きな声を出して驚いた  眼の前には見上げるばかりの断崖絶壁、

 

まるで南米ギアナ・ナスカ高原を 海底から隆起させたような島が 突然ボートの前に現れた。

 

周囲は20キロは有ろうかと思われる島としては当然地図に載っていても不思議ではない

 

忍者島の大小の滝から落ちてくる水は海面に近ずくにつれて水蒸気になる、

 

それを海面から断崖絶壁に吹き付ける風によって吹き上げられ、

 

霧となって島の姿を隠している。

 

オーナー達が飛行機に乗る前に

 

総帥が地図を広げて<この位置に飛ばしてくれ>と言った時に

 

パイロットは「そんな所に島なんかありませんよ、」と云ったのを思い出した。

 

何から何まで不思議な人達だ。 オーナーはまた不安になった。 「まぁーなるようになるさ」

 

「そうですねオーナー」と腹を決めたとたん、急に晴れやかな表情を見せ出した

 

断崖絶壁に囲まれた不知火忍者島から一本のロープが、スルスルスルーと降りてきた

 

八兵衛は、それを掴むと、器用にロープを扱いながら、一気に駆けあがって行った

 

その一部始終を見ていたオーナー達3人は ぽかんと口を開けて感心して云った

 

「八兵衛さんも忍者だったんだ」 でも3人は、あんな真似は出来ない。

 

「皆さんには、ゴンドラを用意しているので心配はいりません。」と総帥が云った。

 

八兵衛と入れ違いにゴンドラが降りて来た。

 

 

 

 

風魔忍者の里に一羽の水鳥が物凄いスピードではばたいてきた。

 

そして、その水鳥は 風魔忍者の双璧と恐れられている000の肩にとまり

 

何やら耳もとで囁いた。すぐさま○○○は、風魔忍者の棟梁、風魔小太郎に伝えた。

 

「なにっ!忍者島に、外人らしき者が3人来ていると アメリカ支部の者か!」と小太郎は聞く。

 

「まだそこまでは」

 

「すぐに草を放て、そして暴れてこい」と一言行った。<あのいまいましい奴らめ…… >