フェンウェイパークの奇跡 | 第48話
シゲは会場内をぐるりと見渡し、一呼吸おいて話し出した。
「みなさんもご存知にように 忍者には゛手裏剣投げ゛ という投げ技があります。
相手を倒す殺人技です 」
<殺人技…… 映画や小説の中の世界だけでなく、実際にあるのか…… >
会見場は、不安げな ざわめきに満ちだした
「いつも手裏剣という刃物を投げている訳ではなく
肩や腕を鍛える為に 石や木を投げたりもします。
それで、野球をしたい者は 木を球状にした野球のボールを 投げたり、
打ったりしてゲーム感覚で楽しみながら 体力アップを狙ったトレーニングもします。
ピッチャーもボールを投げる、忍者も手裏剣を投げる、原始時代、人は獲物を捕る
為に 石を投げていたと聞きます 」とシゲは多くの報道陣に 堂々と云い放った。
「分かりました、それではピッチャーとして、どのような球種を投げるのですか ?」
「魔球< まだま >」とシゲは云った
「まだっ …… 今、何んと云いました」
「我々は ゛まだま゛ と呼んでいる」
「まだま …… ですか ……」
「そうです、 たしか野球で云えば、ナックルボールだと思います 」
まだま…… まだま…… と報道陣は、口々に まだま を連呼しお互いを見合った。
「 まだま と言うのは、ナックルボールと同じような変化をする訳ですね 」
と報道陣は聞く。
「そうです レッドソックスにも
ウェイン投手という 天才ナックルボーラーがいますね、
彼のナックルボールと同じです。
私は これまで幾多の苦難を乗り越えたウェイン投手を尊敬しています
彼とチームメイトとして共に戦えるとは 夢にも思っていませんでした。
彼には色々と教えを乞いたい」とシゲは付け加えた
<忍者が どうしてナックルボーラーのウェインを 知っているのだ……>
ざわめきに包まれる会見場
「忍者シゲ! あなたが 忍者が メジャーリーグでプレーする事により、
メジャーリーグに新しい風が吹き、新時代が到来する」
と世界中の野球ファンの間で、とても話題になっています。
これまで 偉大なスーパースターが 紡いできたメジャーリーグ史を
これからは、忍者シゲ、
あなたが 新時代を先導する役割を引き受ける事になるのは明白でありますが。
心の準備は出来ていますか ?」
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