フェンウェイパークの奇跡 | 第62話
カウボーイは、あっという間に、大勢の記者達に囲まれ 身動きとれなくなった。
記者の1人が おもむろに カウボーイにマイクを向けると興奮して質問した
「 カウボーイ 忍者は、どこで秘密練習をしていたんだい ? 」
< ちぇっ、 またかよ…… >
「そんなこと、俺様が知るわけねえだろー
この前、初めて契約をした事を知っての 今日だぜ、
いくら地獄耳の俺様でも知らねーな」
「そんなことはないだろう、我々の考えでは
これはレッドソックスの機密事項として
全員に、緘口令 <かんこうれい> が敷かれているはずなんだ」
「何度云わせりゃ 気が済むんだ! 知らねぇ―ものは 知らねぇーんだ!」
「カウボーイ! 君は 我々の取材に協力しないつもりなのか?」
報道陣たちは、殺意を持った強烈な視線で 一斉にカウボーイを睨みつけた
< えっ…… > キョトン となるカウボーイ・ジャクソン
これまで 報道陣たちは 忍者シゲについての取材が全然進んでいない
報道陣の鬱憤の矛先が カウボーイ・ジャクソンに向けられる
「今 世界中の人々が
レッドソックスと契約した忍者シゲの動向を 知りたがっている
チームメイト及び、球団関係者は、
忍者シゲに関するものなら どんな些細な事であっても
我々報道陣に報告する義務がある事を肝に銘じてほしい」
と記者達の中から声が上がった
「そうだ そうだ 」
「肝に銘じて取材を受けてくれ」
< ちぇっ… 勝手な事を云ってやがる… >
「それじゃー カウボーイ 正直に答えてくれ 忍者の好きな食べ物は?」
「うるせぇーやい ! 知らねえと言っているだろうー
とっとと 帰りやがれー ったくもぉー」
いつもは恋人同志と呼ばれる程の間柄のカウボーイと報道陣
しかし、忍者の入団会見後から続く 余りに執拗な質問攻めに
とうとう堪忍袋の緒が切れたカウボーイは、
報道陣を かきわけ かきわけ 球場の中へと入って行った。
この様に至るところで選手と報道陣のトラブルが相次ぎ、
とうとうレッドソックス球団は
報道陣に対し無期限のクラブハウス・ロッカーへの出入りを禁止した
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