フェンウェイパークの奇跡 | 第 15話
次の瞬間オーナー達三人に戦慄が走った、乱闘 と云っても殴り合いではなかったのだ。
審判が、背に担いだ忍者刀を抜くや否や、
それを待っていたかのように、グランドにいる忍者全員が、
背に担いだ忍者刀を抜き、斬り合いが始まった。
あっと云う間に両チーム入り乱れての殺し合いの開始だ。
<何て事だ!・…>
< たっ…… 大変だ!・……… >
三人は、その光景を見て、顔面蒼白になった。
両チームは最終回まで互角に戦っていた、スコアは0―0
すると リリーフとして忍者シゲが登場する事になった。
「あれがシゲじゃ」と言って総帥が指差した。
忍者スタイルで 顔は濃紺の布に覆われているので眼だけしか見えない、
いよいよシゲがマウンドに登った。
するとまわりの木々にとまっていた鳥たちが、空に向かっていっせいに飛び立った。
三人は、驚いて首をすくめ、辺りを見回す。
シゲは野球で言うセットポジションからの投球動作に入った。
三人は 忍者シゲがどんな凄い球を投げるのかと 固唾をのんで見守る。
そして、シゲは第一球を全力で投げた。
しかしシゲが投じたボールは ふわっと 山なりの軌道を描いて忍者打者に向かった、
「あれっ…」三人は失望した、
しかし
ボールは忍者打者の手前5メートル付近ぐらいから急激にジグザグ走行を始め出した。
「あっ ナックルボールだ!」とGMは大声で叫んだ。
ドスンという音とともに忍者打者の腹部にボールは当たってポトリと落ちた。
打者の忍者は、膝をつき蹲<うずくまる>っている。
相当痛そうだ。
GM、うちのウェインが投げている、あの変化球か」とオーナーはすかさず聞いた。
「そうです、あれはまぎれもなくナックルボールです。ほとんど回転せずに
打者に向かってふわふわと蝶蝶のように飛んで行き、
ぐらぐらと揺れながらストンと急激に落ちました。
ウェインのナックルボールに匹敵する質の高いナックルボールです。」とGMは興奮して話した
棟梁はニコニコして3人の話を聞いている
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