フェンウェイパークの奇跡 | 第56話

2023年1月18日

シゲは 食事の間に子供たちから色々な質問を受けた。

 

「忍者シゲは本当に忍者なの?」

 

「そうだよ、まだ日本へは行った事がないんだが 先祖は日本の忍者なんだ」

 

「忍者は色々な忍術を使うというけど、忍者シゲも忍術を使えるの?」

 

「使えるとも、最後の最後に もう どうしようもない時だけ」

 

「忍者シゲは、キャンプにも練習試合にも出ていないけど、

 

いつになったら魔球を投げるの ? 」

 

これにはシゲは閉口した  猛虎・餓狼・八兵衛も子供達と一緒に笑っている。

 

< そうか俺の行動は、みんな知っているのか、困ったなー 何て言おう… >

 

とシゲが、考えあぐねていると

 

「忍者なんか いないわ!」とサリーという少女が話の腰を折った

 

するとジョンという少年が「目の前にいるじゃないか」と反論する。

 

「この人は忍者の姿をしているだけよ 本物の忍者ではないわ」

 

とサリーは 忍者シゲを睨みつけて云うと部屋を出ていった。

 

「サリーのへそ曲がり…」と少年ボブは悲しい表情をした。

 

「ごめんなさい」 とシャロンは シゲに云って申し訳なさそうな顔をした。

 

「気にしない 気にしない、殆どの人は忍者か どうか 半信半疑だと思います。」

 

とシゲはシャロンに微笑んだ。

 

「みんなは、野球は好きか?」とシゲは、帰りがけに、子供達に尋ねた。

 

「大好き」 と子供達は、元気よく返事をした。

 

「今日の食事のお礼に、今度 試合のチケットを持ってくるよ」

 

とシゲは子供たちに云った。

 

子供達は飛び跳ねて喜んだ。

 

「兄者 美人先生も ご一緒して頂かないと」と八兵衛は 鼻の下を伸ばして云った

 

「その時は、シャロンさんも一緒に来て下さい」 シャロンも笑顔で頷いた。

 

シゲたちは帰り際、

 

もう一度 染井吉野の側に行き 「また来るからな」と云って門から出ていった。

 

3/28

 

FWPは 忍者一色に染まりだした

 

忍者が レッドソックスと契約した途端、

 

広告希望企業が殺到し球団事務所は大わらわ、

 

球団事務所はフェンウェイパークのありとあらゆる所に広告のスペースを作りだす、

 

壁という壁、扉という扉の空スペースは 全部広告で埋まってしまった。

 

昨年まで 固定式だったバックネット広告は 回転式となった。

 

「試合の中で 数種類のバリエーションを持って 広告が使えるようになった」

 

と球団関係者は胸を張る。

 

そして 今後どれだけ増えるか分からない報道陣の数に対応する為、

 

記者席も3列から10列とし、

 

その後ろには200席を超える「ワーキングルーム」が出来上がった。