フェンウェイパークの奇跡 | 第45話
3月25日 午前7:00
入団会見当日
全米中のメディアというメディアが フェンウェイパークの記者会見場に、
われ先にと 場所取りを始めたのが会見開始６時間前、
前日ボストンレッドソックスのＧＭから
緊急の記者会見を行うとの通達が 全米中の各メディアに送られた。
その内容を読んだメディアの反応は
各社ハチの巣をひっくり返したような騒ぎになっていた。
それからすぐにフェンウェイパークの球団事務所には
電話回線がパンクするのではないかと思われる程の
各メディアからの問い合わせが殺到した。
<日本の忍者が ボストンレッドソックスに入団するとは、どういう事なんだ>
<明日の一面トップを取る為にでたらめを云っているのではないのか>
ボストン レッドソックスからの、
御伽噺のような発表が本当なのかと半信半疑でありながらも、
磁石が常に北を指すように、記者たちは、自分の気持ちが
常にフェンウェイパークの方を向いているのが、不思議でならなかった。
スポーツ雑誌社のMLB担当のサムなどは 朝の５時に編集長から叩き起こされ
取材先のフロリダから至急フェンウェイパークに向かうように命ぜられた、
「サム! すぐにフェンウェイパークに行ってくれ、
忍者が ボストンレッドソックスに電撃入団したんだ、今日入団記者会見がある。」
「えっ、何ですって 忍者と云いましたか」
「そうだ 忍者が レッドソックスと電撃契約したんだ」
サムは上司が何を言っているのか、まったく分からなかったので
もう一度聞き返した。
「すいません、もう一度言って下さい」
「サム いいかい、とにかく すぐにフェンウェイパークに行け、
そして 午後5時に始まる記者会見に出ろ」 と言って電話を切った
サムは 訳も分からず、すぐにボストン行きの飛行機を予約し、飛び乗った。
ローガン国際空港に到着したサムは
すぐさまレッドソックスのホームページにアクセスした。
「信じられない 」と一言云って、すぐさま上司に電話をかけた
「レッドソックスのホームページを見ました。
これは単なるファンサービスなんでしょうか」とサムは上司に伺った。
「詳しい事は分からないが、本当の話なんだ。
球団職員の何人かと連絡を取って確認した
日本からだとは思うのだが、忍者が来てレッドソックスと契約した事だけは確かだ」
と上司は異常に興奮している。
サムは まだ何が起こったのか 確実に把握することが出来ないでいた
<忍者がメジャーリーグに………>
一体全体、どこを どう見ても忍者と野球には接点がない。
接点を探そうにも…… 忍者が本当に実在しているのかどうかさえ分からないのだ。
サムは 入団会見2時間前にフェンウェイパークに姿を現わした。