フェンウェイパークの奇跡 | 第 6 話

2022年7月28日

「シゲに会うのは、早い方がいい」

 

と総帥は ひと息つく間もなく 3人を島の頂上まで連れていった、

 

そこは木々を伐採してグランドのようになっていた。

 

そして三人が最初に眼にしたのは長方形のグランドだった、

 

白色と赤色の忍者服を着た者達およそ20名程が

 

敵味方に分かれて一つのボールを奪いあっている。

 

「忍者はアメフトもするんですか?」とGMは驚いている。

 

少し行くと、なにやら野球場の様なものが見えてきた。

 

よく見ると赤と白の鉢巻をした忍者たちがグランドでキャッチボールをしている。

 

忍者同士が向き合って対決しているように見える。

 

三人はグランドを見渡し、すぐに違和感を感じた。

 

<あれっ……バッターボックスが描かれてない……>

 

「総帥!バッターボックスは描かないのですか?」

 

とGMは怪訝な表情をして総帥を見て云った。

 

「MLBでは、打者は、バッターボックスの中で投球を待つことになる。しかし、

 

ここ忍者野球では、ホームベースはあるが御覧のようにバッターボックスは無い。

 

打者はホームベースをまたいで投球を待つことになる、」と総帥は云った。

 

「まっ、 またいで!…… てすか?」 とGMは、眼を剝いて驚いた。

 

「そうじゃ」と総帥は頬笑んだ  オーナーたちには、まったく訳が分からない。

 

<一体どんな野球をするつもりなのだろう……>三人は、お互いを見て戸惑った。

 

「つまり、こういう事なのだ。忍者野球とメジャーリーグの一番大きな違いは

 

打者は 投手と、生きるか死ぬかの決闘をするという事なのだ。」と総帥は云った。

 

「けっ、決闘」とオーナーが云うと総帥は、うなずいた。

 

「我々は、忍者の修行のひとつとして野球を取り入れた以上、

 

単なるゲームでは終わらせていない。」と総帥はキッパリと云い切った。

 

「ここでのルール、即ち 忍者野球のルールを少し説明しておこう 」と総帥は云った

 

「忍者打者のストライクゾーンは、内外角はMLBと同じ、

 

しかし、高低は、忍者打者の爪先から頭のテッペンまで 」

 

忍者打者はホームベースをまたいで投球を待つ。

 

その時、忍者投手が投球をした場合。次の四つ事が考えられる

 

「①忍者打者に当たる」

 

「②忍者打者が打つ」

 

「③忍者打者が投球を空振りや見逃し、または避ければ

 

球がストライクゾーンを通過してストライクになる」

 

「④投球がボールになる」

 

①投球が忍者打者に当たる

 

「投球が忍者打者に当たれば、デットボールになり、 メジャーリーグでは、一塁へ進塁するが

 

忍者野球ではアウトになる。」

 

「デッドボールがアウトですか?」GMが驚いて聞き返した。呆気にとられるオーナーたち。

 

「そうじゃ」と総帥云う

 

「忍者打者が空振りした後に、球が身体に当たった時も、

 

野球ではストライクになるが、忍者野球では、アウトになる。

 

②投球を忍者打者が打つ

 

忍者打者はフェアーゾーンに打たない限り、忍者打者はアウトになる。

 

③忍者打者が投球を空振りや見逃し、または避ければ

 

ボールがストライクゾーンを通過する」・・・・・・

 

この場合は忍者打者はアウト、そして、退場になる。その上 3試合の出場停止になる、

 

 

「自分に向かってくるボールを避けたら退場、

 

それも三試合の出場停止ですか?」とGMは総帥に聞きなおした。

 

総帥は頬笑んだ。「3試合の出場停止だけではなく、3日間の断食にもなる。」

 

「3日間の断食……」三人は唖然として言葉が出てこない。

 

「忍者打者は断食にならないように、必死に球に食らいつく」と総帥は云い笑った。

 

「忍者投手は、打者に対し、2球まで投げることが出来る。

 

2球ともボールならMLBで云う四球になり、打者は一塁へ行く。」

 

「忍者投手にとっての一番の目的は、忍者打者に、ボールをぶつける事なんじゃ」

 

「えっ、ぶつける……」三人は総帥の言葉に狼狽した。

 

「忍者打者にとっての一番の目的は、自分に向かって来るボールに対して、

 

いかにしてフェアーゾーンに打ち返すかなのだ。」

 

「ご存じのように、忍者には、手裏剣投げという、

 

殺傷能力のある刃物・ナイフのようなものを敵にぶつけ、ダメージを与える殺人技がある。」

 

「忍者映画で見たことがあります。」とGMは云い、三人は、大きくうなずいた。

 

「皆さん、ボールを手裏剣に置き換えれば、理解していただけると思います。」

 

「忍者投手の投球<手裏剣>を忍者打者<ストライクゾーン>に投げた時に、

 

忍者打者が打ち損じたり、空振りしたり、見逃すことは

 

敵の手裏剣攻撃を防ぎきれなかった事になる。」

 

「戦闘の状況にもよるが、忍者が戦闘中に、

 

もし自分に向かって来た手裏剣攻撃を防ぎきれなかったら どうなる?」 と総帥は三人に問う

 

<………>  3人は何も言わない。