フェンウェイパークの奇跡 | 第28話

2023年1月18日

キャンプに、これほど多くの報道陣が大挙押し寄せた原因は、

 

ドーセット ・ カウボーイ・ジャクソンだけではなく もう一つあった。

 

去年カウボーイ・ジャクソンの入団会見があったクリスマスあたりに

 

ボストンの街に まことしやかな噂が流れた事も要因の一つだった。

 

その噂は、"忍者が来る" と云うものだった。

 

何処からこんな噂が流れたかは定かではないが.

 

当初、日本野球界のスーパースターが

 

フリーエージェントでレッドソックスと契約すると思われていたが.

 

そうではないことがわかり、一時 噂は立ち消えた。

 

しかし、カウボーイ・ジャクソンのストロー発言後、

 

再び 噂がまことしやかに囁かれだした。

 

ドーセット、カウボーイが動けば報道陣もつられて動き出す。

 

しかし約1/3の報道陣はカウボーイ・ドーセには目もくれず

 

いつもキャンプ地の至る所に目を配っている。

 

キャンプも1クールを終えた頃。

 

ドセは フリー打撃に投げるように云われた

 

「ドセ、打者が立たないと集中出来ないと云っていたな !

 

今日は打者に投げるんだから問題はないはずだ。

 

ドセ、少しは良いところを見せろ! このままじゃ下に行くことになるぞ !」

 

とゴルビーはドセにハッパをかけた。

 

横でヤング投手コーチは苦笑している。

 

ドセはマウンドに立ちロジンを手にした。

 

打者が打席に立つとワインドアップから第一球を投げた。

 

空気を切り裂く音が大きく響く。

 

“ゴーン" ボールはバッティングゲージの鉄パイプに直撃、

 

跳ね返ったボールは 再びドセに戻ってきた

 

「おおっー、凄い速球だ!」

 

「あの小僧、洒落た事するじゃないか!」

 

「あんなすごい芸当ができるほどのコントロールをもっているのか! 」

 

「さすが100年に1人の逸材だ!」と報道陣はざわつく。

 

「ドセ ! 何をしている、ストライクゾーンに投げろ !」

 

とゴルビーはイライラしている

 

2球目は、ゲージのネット最上部に直撃。

 

<あれっ……>

 

3球目、今度はゲージのはるか上を行き バックネットにぶち当たった。

 

<なんだっ……  さっきのは……  まぐれ ?……>

 

<何が 打者が立つだ !

 

ゲージはあるわ、ゲージの後ろにはバカみたいに人がいる。全然緊張しないぜ」

 

と ふくれっ面のドーセット