フェンウェイパークの奇跡 | 第30話

2023年1月18日

「もういいドセ、かわれ !  ブルペンに行って投げ込みをしろ ! 」

 

とゴルビーは怒鳴った。

 

「あの小僧、凄い速球を投げやがる。 しかしなぁー、あのコントロールじゃ…………ヤングコーチ、何とかならんか?」

 

「私の考えでは 何とかなると思います。」

 

「本当か!」

 

「ハイ ただ…… 監督の……」

 

「なんだ、俺がどうした」

 

「監督のロの中に放り込む…… ガムの数が……」

 

「ガムの数……  そんな事で済むのなら、俺は何個だってロの中に放り込む 」

 

「本当ですか」

 

「本当だ」

 

「わかりました」

 

エキシビションマッチに入ってもドセは メジャーに残った。

 

今日、レッドソックスは、毎年恒例になっているボストン大とのエキシビションマッチ。

 

ヤングコーチは、前日に ドセに今日の先発を言い渡していた。

 

ボストン大との試合前日

 

「明日の試合は ドセ、お前が先発だ!」表情がみるみる明るくなるドセ。

 

「俺が…… 何処とです」

 

「ボストン大学だ」

 

「ボストン大学 !  どうして俺がアマチュアの相手をするんですか?」

 

いっぺんに表情が暗くなるドセ

 

「そう深く考えるな 練習試合だ。頼んだぞ」

 

ヤングは、そう云うとマーチン監督のほうへ歩いていった。

 

< ちぇっ… 誰か他にいるだろう… どうして俺なんだ… >

 

ドセは やる気が無くなった。

 

試合当日 ドセは浮かない顔をしてマウンドに立ち投球練習をはじめた。

 

しかし、まったくストライクが入らない。

 

ミラベリは、ドセの速球を飛びつきながら捕っている。

 

ボストン大学のベンチから失笑が沸いた

 

レ軍ベンチの中からイライラして見つめるマーチン

 

12時 試合は始まった。 ドセは先頭打者をストレートの四球、

 

マーチンはいつものように、

 

直径2cmほどの野球ボールの形をしたガムが入つた箱を、バックから取りだした。

 

「監督 ! やけに大きな箱ですね、何が入っているんです。」

 

とミッキーがマーチン監督に聞いた。

 

「決まっているじゃないか、ドセ対策をしてきたんだ。

 

いくらなんでも、これだけあれば大丈夫だろう。」

 

マーチンは 投手が四球を1つだすたびに、野球ボールの形をしたガムを

 

1つ口の中に放り込む。

 

そのイニングが終わるか、投手が交代するまでガムを噛み続けている。

 

それは少しでもイライラを抑えるためらしい。

 

マーチンは覚悟を決めたのか通常の4倍  10個から40個にガムの数を増やした。

 

箱もそのぶん 倍ぐらいの大きさになった。