フェンウェイパークの奇跡 | 第26話
ここまでならカウボーイの発言は、まだ許せたが、ここからが、いけなかった。
カウボーイ・ジャクソンは何を思ったのか。
キャンプ初日に大勢の報道陣を前にして とんでもないことを言い放った
「俺様がレッドソックスというドリンクを かき回すストローだ!
ベンが、かき回すと味が落ちる」と息巻いた。
このカウボーイ・ジャクソンの発言に報道陣は、飛びあがって喜んだ
カウボーイ・ジャクソンの挑発発言後、報道陣は、すぐさまベン主将のもとへ走った
報道陣の大移動だ
カウボーイの挑発発言の事など 何も知らないベン主将は
、クラブハウスでチームメイトとくつろいでいた。
そこへ、息も絶え絶えの殺気だった大勢の報道陣が、
ベン主将のもとへ大挙押し寄せ、ぐるりと取り囲んだ
「先ほどのカウボーイの、ベン主将に対する挑発発言をどう思われますか?
ひと言、お願いします」
と色めき立つ報道陣の中から質問が飛んだ。
「カウボーイが、何か云ったのか?」とベン主将は、訳が分からない。
「カウボーイは、こんな事を云ったんです
゛俺様がレッドソックスというドリンクを かき回すストローだ!
ベンが、かき回すと味が落ちる ゛
これは明らかにベン主将に対する挑発、我々は べン主将に対する
゛宣戦布告゛ と取ったんですが
ベン主将から 何かひと言、お願いします」
「おいおい、ちょっと待ってくれ、そんなに事を荒だてないでくれ、
それは、いつものカウボーイが よくやるリップサービスだろ、
この時期いつも話題が無いから、
あなた方を通じて、ファンに話題を提供しただけじゃないのか?」
とベン主将は、ウンザリした顔で云った。
「いえっ、カウボーイの表情・口調から察すると、
あの挑発発言は、間違いなく本心からです。
いつも、カウボーイと接している我々には、
それが手に取るように、分かるんです。」
とカウボーイ・ジャクソンとベン主将を、
どうしても喧嘩させたい報道陣の眼は血走っている。
「俺のほうは、いつでもカウボーイに主将をバトンタッチしても構わない。
そうだ! いっその事カウボーイに主将になってもらい、優勝請負人の異名どおり
レッドソックスを優勝に導いてもらうってのも悪くないな。」
とベン主将は笑って云った。
ベン主将の口からは、報道陣が喜びそうな景気のいい話はひとつも出てこない。
報道陣は、何とかして二人を喧嘩さそうとしている
<このまま平穏無事に終わってなるものか!>
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